風俗店通いの離婚原因該当性

離婚の可否・不貞慰謝料等

1 はじめに

「風俗は不貞ではない」
そのような考えを持つ人は少なくありません。

離婚訴訟等で離婚について争われた場合、民法770条1項に定められた離婚原因が存在しなければ離婚は認められませんが、配偶者の風俗店通いを理由に離婚することはできるのでしょうか。
本コラムでは、配偶者の風俗通いが離婚原因に該当するのかについてご説明いたします。

2 離婚原因の該当性

離婚原因として配偶者の風俗店通いが問題となった場合、民法770条1項各号のうち、特に「配偶者に不貞な行為があったとき」(1号)の該当性と「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(2号)の該当性について検討することになります。

①「配偶者に不貞な行為があったとき」の該当性
判例では、不貞行為について、「配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」をいうとしています(最判昭和48年11月15日)。
風俗店での性交は売春防止法により禁止されているため、風俗店で性交が行われた場合、それは業務サービスを超えて自由な意思にもとづいて行われたものとして、不貞行為に該当すると考えられます。
しかし、性交ではなく、口淫や手淫などの性的類似行為のみが行われていた場合、それが不貞行為に該当するかは実務上判断が分かれます。
この点の参考として、横浜家庭裁判所平成31年3月27日判決における以下の判示を紹介いたします。

「(夫は)1回デリヘルの性的サービスを受けているが、……それ以上に利用したことがあったとは認めるに足りない。また、仮にあと数回の利用があったとしても、被告(夫)は発覚当初から原告(妻)に謝罪し……、今後利用しない旨約束していること……からすると、この点のみをもって、離婚事由に当たるまでの不貞行為があったとは評価できない。」

しかしながら、刑法177条が定める「不同意性交等罪」(令和5年7月13日施行の刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律により、従前の「強制性交等罪」が「不同意性交等罪」に改められました。)における「性交等」には、性交だけでなく口淫も含まれており、法の価値判断としては、性的類似行為も不貞行為に該当するという見解も間違いとはいえないでしょう。
いずれにせよ、配偶者の風俗店通いが不貞行為に該当することを根拠に離婚を求める場合、風俗店での性交ないし性的類似行為の事実のほか、通いの頻度や期間などを立証する必要があり、証拠の収集が重要となるでしょう。

②「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」の該当性
「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、一般に、婚姻共同生活が破綻し、その修復が著しく困難な状態にあることをいいます。
配偶者の風俗店通いが原因で夫婦関係が冷え切り別居に至ったり、風俗店通いに多額の金員を費やした結果、夫婦生活を維持継続することが困難となるほどに経済的に困窮したりした場合には、配偶者の風俗店通いは「婚姻を継続し難い重大な事由」を基礎づける重要な事情となるでしょう。

3 おわりに

配偶者が風俗店に通っていることが発覚した際、精神的ショックを受け、配偶者に対して大きな不信感を抱く方は多いと思われます。配偶者の風俗店通いが原因で婚姻関係が破綻したといえる場合には、慰謝料請求が認められる可能性もございます。
配偶者の風俗店通いで離婚をお考えの方は、客観的状況だけでなく、お悩みやご不安などお気持ちの整理のためにも、一度弁護士にご相談ください。

弁護士: 森 遼太郎