離婚の訴えの附帯処分としての財産分与請求

財産分与

1 はじめに

本コラムでは、離婚の訴えにおいて附帯処分として行うことができる財産分与請求の申立手続(人訴法32条1項)について解説します。

2 申立方法

離婚訴訟が係属している場合に、その附帯処分として、当事者の書面による申立てで財産分与の申立てを行うことができます(人訴規則19条1項)。申立書面には、申立の趣旨及び理由を記載すると共に、証拠となるべき文書の写しで重要なものを添付することが必要です(人訴規則19条2項)。

附帯処分の申立ては、あくまで離婚の訴えの付随的申し立ててであるため、訴えの係属が失われた場合には、附帯処分の係属も失われます(最判昭和58年2月3日・民集37巻1号45頁)。

3 審理について

離婚訴訟の審理は、訴訟であるために公開審理が保障され、離婚要件等の存否については厳格な証明が求められます。そして、証拠調べについては、一部を除いて(人訴法19条1項)、民事訴訟法の規定によります。

他方で、附帯処分については、裁判所において事実の調査を行うことができ(人訴法33条1項)、この調査については弁論主義の適用はなく、調査手続は非公開で行われます(人訴法33条5項)。故に、裁判所は、民訴法の規定により得られた証拠資料と、事実調査の結果得られた証拠資料の双方から、財産分与について判断することができます。

もっとも、実務上は、財産分与の財産紛争性に鑑みて、基本的に裁判所の裁量的要素が排除され、各当事者による主張立証が中心となります。

弁護士: 土井 將