財産分与 2分の1ルールの例外

財産分与

原則―財産分与の2分の1ルール

財産分与は、夫婦の共有財産を2分の1で分けるのが原則的な考え方です。

これは両性の本質的平等の観点から、共有財産に対する寄与割合を各2分の1と考えるためです。

例外―大阪高裁平成26年3月13日

もっとも、この「2分の1ルール」について、例外的な考え方を示した裁判例が存在します。大阪高裁平成26年3月13日は、2分の1ルールの例外について以下のように判断しています。

Ⅰ 夫婦の一方が,スポーツ選手などのように,特殊な技能によって多額の収入を得る時期もあるが,加齢によって一定の時期以降は同一の職業遂行や高額な収入を維持し得なくなり,通常の労働者と比べて厳しい経済生活を余儀なくされるおそれのある職業に就いている場合など,高額の収入に将来の生活費を考慮したベースの賃金を前倒しで支払うことによって一定の生涯賃金を保障するような意味合いが含まれるなどの事情がある場合,

Ⅱ 高額な収入の基礎となる特殊な技能が,婚姻届出前の本人の個人的な努力によっても形成されて,婚姻後もその才能や労力によって多額の財産が形成されたような場合

などについて、上記の各事情を考慮して寄与割合を計算しなければ、個人の尊厳が確保されたことになるとはいいがたいとした上で

「医師の資格を獲得するまでの勉学等について婚姻届出前から個人的な努力をしてきたことや,医師の資格を有し,婚姻後にこれを活用し多くの労力を費やして高額の収入を得ていることを考慮して,控訴人の寄与割合を6割,被控訴人の寄与割合を4割とすることは合理性を有する」と判断しています。

最後に

このような例外的な場面に当たるかどうかはケースバイケースではあるものの、財産分与についてお悩みの方は、まずは専門家にご相談されることをおすすめします。

弁護士: 伊藤由香