特別児童扶養手当と婚姻費用について

婚姻費用・養育費

1 特別児童扶養手当とは

特別児童扶養手当等の支給に関する法律に基づき、20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護・養育している父母等に対し支給されるものです。

 

2 別居中の配偶者が、婚姻費用を支払わない上、特別児童手当を受給し、これを子供を監護する他方配偶者に対しを渡さない場合

子どもを監護する他方配偶者が、婚姻費用分担調停において、婚姻費用に加算して、特別児童扶養手当相当額の支払いを求めることができるか、問題となります。

 

3 調停において請求できるが、審判事項とはならない

東京高裁平成21年4月21日では、以下の通り判示されました。

『家庭裁判所は,婚姻費用分担の家事調停手続において婚姻費用の分担に係る乙類事項だけでなく一般に家庭に関する紛争事項として抗告人と相手方間で上記手当と同額の金員を支払うことの合意が成立した場合にこの部分を含めて上記調停を成立させることはできるが(家事審判法17条,21条),調停の不成立による審判移行後の家事審判手続において,抗告人に対し相手方ヘの同手当の返還又は支払を命じる審判をすることは家事審判法上困難であるというほかない。なぜならば,審判に移行するのは,婚姻費用の分担に係る乙類審判事項の申立てだけに限られるからである。』

 

つまり、調停において特別児童扶養手当相当額の金員を支払う合意が成立した場合には、その部分を含めて調停を成立させることが可能ですが、仮に調停が成立せず審判に移行した場合、特別児童扶養手当の支払いは審判事項となりません。

 

4 最後に

 今回は、特別児童扶養手当に絞ったお話をしましたが、当所ではご依頼者様の個々の事案に応じて婚姻費用の調停申立てのご対応を致します。ぜひ当所へご相談ください。

弁護士: 中川真緒