扶養的財産分与

財産分与

1 扶養的財産分与とは

一般的に、財産分与と聞いて思い浮かぶものは、清算的財産分与ではないでしょうか。それとは別に、扶養的財産分与というものもあります。

離婚時の清算的財産分与などにより妻に資産がある場合や、夫に扶養能力がない場合には認められないため、扶養的財産分与が認められる場合は限られているかとは思いますが、扶養的財産分与とは、たとえば、専業主婦であったために離婚後に仕事に就くことが困難な妻に対して、夫が離婚後も妻を扶養するものをいいます。

 

2 額、期間、方法

扶養的財産分与は、離婚後における一方の当事者の生計の維持のために認められるものであるため、夫婦が同一の生活を保持できる程度の額の婚姻費用の額よりも低額になることが一般的です。

また、生活の維持のためであることから、安定的な収入が得られるまでの期間で認められることがありますが、例外として、妻が死亡するまでの支払いを命じた裁判例もあります。

扶養的財産分与は、金銭の支払い、夫の特有財産の土地の使用貸借権などで認められることがあります。金銭の支払いでは、離婚時の一括払い、離婚後一定期間中の定額払いの方法があります。

弁護士: 仲野恭子