具体的な婚姻費用の計算方法

婚姻費用・養育費

1 はじめに

これまで、婚姻費用がどのように定まるのかを何度かコラムでご紹介いたしましたが、本コラムでは、具体的に婚姻費用がいくらになるのか計算方法をご紹介いたします。

具体的な婚姻費用については、①子の人数②子の年齢③子の監護を誰がしているか④夫婦の収入⑤その他修正要素で決定されます。

裁判所が、算定表を公表しておりますので、大まかな婚姻費用を知りたい場合には、こちらをご確認ください。

裁判所H P:
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

もっと具体的な金額が知りたい方は、以下の計算式に当てはめて、計算してみてください。なお、算定表には、年収が2000万円の場合までしか載っていません。

2000万円以上収入を得ている高額所得者の婚姻費用については、別コラムで紹介いたします。

2 具体的な計算式

(義務者基礎収入+権利者基礎年収)✕{権利者側の生活費指数合計(100+子の生活費指数合計)÷(夫婦の生活費指数合計200+全ての子の生活費指数合計)}−(権利者基礎収入)

これが年額の婚姻費用の額ですので、12ヶ月で割って月の婚姻費用の額を算出いたします。

3 基礎収入の算出

 基礎収入とは、総収入(額面の金額)のうち、どれだけ生活のために使うことができるのかという指標になります。収入の中には、税金等生活に使えないお金があることから、その分は婚姻費用の計算において考慮いたしません。

 基礎収入は、下記の総収入金額に応じた収入割合を乗じて計算いたします。

給与所得者の場合の基礎収入割合

〜2000万円 38%
〜1475万円 39%
〜1325万円 40%
〜 725万円 41%
〜 525万円 42%
〜 275万円 43%
〜 175万円 44%
〜 125万円 46%
〜 100万円 50%
0〜 75万円 54%

4 生活費指数の算出

生活費指数は、大人の生活に係る生活費の割合を100とした時に、子の生活にどれくらい係るかという割合の指標になります。

 大人に一番生活費がかかり、高校生は、中学生以下よりも生活費がかかるということになります。

生活費指数は以下のとおりです。

義務者・権利者             100
子の年齢 0~14歳 62  
              15歳以上 85

5 具体例

義務者1500万円、権利者120万円、子ども3人(16歳、13歳、10歳)の家庭で、権利者が子ども3人を監護して別居している場合の婚姻費用は以下のとおりとなります。

 義務者基礎収入   1500万円×38%=570万円

 権利者基礎収入    120万円×46%=55万2000円

 子どもの生活費指数合計 85+62+62=209

(570万円+55万2000円)×209÷409−55万2000円=約417万2000円

月額は約34万円7000円となります。

6 おわりに

婚姻費用の具体的な計算方法をご紹介いたしましたが、計算方法がわからない、その他修正要素はどんなものがあるかわからないと言った場合には、是非当事務所までお問い合わせください。

弁護士: 森下 裕