会社財産の財産分与①

財産分与

1 財産分与の可否

夫婦の離婚に伴い、夫婦の共有財産を原則として2分の1に分与するよう請求することができますが、どの財産を2分の1にするかという、財産分与の対象が生じることも多いものです。

例えば、相手方が会社経営をしている場合、相手方の資産が会社名義にされている場合があります。この場合、相手方個人がたとえ代表取締役社長であったとしても、会社と相手方個人は別の主体ですので、相手方個人に対する財産分与の請求の対象として、別主体の会社財産を含めることはできません。

よって、会社名義の資産は財産分与の対象とならないことが原則です。

2 例外的に対象となる場合

ただし、財産によっては夫婦の共有財産と同視できるとして財産分与の対象とすることも可能です。

例えば、広島高裁(岡山支部)平成16年6月18日判決では、以下のとおり判示して、夫婦で営んできた事業のために設立した会社であったことや、夫婦の所有マンションの管理会社として設立された、といった会社の性質上その会社名義の財産も財産分与の対象として考慮することができるとしています。

「一審原・被告が営んできた自動車販売部門を独立させるために設立され、丁原社は、一審原・被告が所有するマンションの管理会社として設立されたものであり、いずれも一審原・被告を中心とする同族会社であって、一審原・被告がその経営に従事していたことに徴すると、上記各会社名義の財産も財産分与の対象として考慮するのが相当である。」

3 まとめ

以上のとおり、原則的には相手方が経営する会社資産を財産分与の対象とすることはできませんが、例外的に対象とすることも事情によっては可能ですので、まずはご相談いただければと存じます。

弁護士: 立野里佳