会社財産の財産分与②

財産分与

1 会社財産の財産分与の考え方

会社の財産と個人の財産とは別個のものであるとの考え方から、原則として会社名義の財産を財産分与の対象とすることはできないとされているものの、前回のコラム【会社財産の財産分与①】でも紹介したとおり、会社の財産を財産分与の対象と認めた例もあります。

 

2 配偶者が1人で経営する会社財産

前回のコラムでは夫婦で経営する会社についての財産分与に関する裁判例を紹介しましたが、今回は、配偶者1人が経営支配する会社について、財産分与が認められた例を紹介します。

以下の裁判例では、「夫婦がその協力によつて婚姻中蓄積した財産を精算するもの」という原則論を述べたうえで、「事実上支配し又は支配し得る財産」については、会社財産であっても財産分与となると判示しました。

 

■ 長野地裁昭和38年7月5日判決(判タ 166号226頁

「原告が被告の財産であると主張する別紙第二目録記載の土地…(略)…は全部右会社の財産であることが認められる。しかし前述の財産分与の本質に照らせば、被告の現在有する財産の価額は法律上被告に属する財産の価額のみではなく、法律上は第三者に属する財産であつても(従つて被告の責任財産に属しない。)事実上被告が支配し又は支配し得る財産或は将来被告の財産となる見込が十分な財産は、被告の潜在的な財産としてその価額を加算すべきものと解するのが相当である」

 

弁護士: 立野里佳