ペットと財産分与

財産分与

1 はじめに

本コラムでは、離婚に際してペットがどのように扱われるかについて解説いたします。

 

2 ペットは法律上「物」である

ペットは、所有権の対象となる「物」(民法85条、86条参照)にあたります。

そのため、婚姻期間中に形成した実質的共有財産を清算する、いわゆる清算的財産分与の一環として、分与の対象となります。

 

3 裁判例 (福岡家裁久留米支部令和2年9月24日判決)

前回のコラムでもご紹介しましたとおり、財産分与は原則的に積極的財産を2分の1ずつに分けますが(いわゆる2分の1ルール)、ペットを現物分割するわけにはいきません。

この点について、原告である夫と被告である妻が同居中に犬3匹を飼っていたという事案において、判断した裁判例がございます。

 

以下、判決文引用。

犬3頭についてはこれを原被告の共有と定め、民法253条1項により原被告が持ち分に応じて飼育費用を負担するものとしておくのが相当であると考えられる。そして、原告は定職があり持家も有しているのに対し、被告がアルバイトなどで稼働してきたもので現在は無職であり、借家住まいであることに照らすと、持分割合は、原告2対被告1として、同割合で費用を負担するのが実質的な公平にかなうといえる。また同条項には、同法649条にあるような費用前払に関する規定はないが、犬3頭の飼育費用として、被告宅家賃の一部及び原告が支払中の餌代が今後も発生し続けることは明らかであるため、その3分の2については人事訴訟法32条2項により、原告に支払を命ずるのが相当である。」

つまり本判決は、ペットも清算的財産分与の対象となるものの、単純な「物」と異なり飼育費用が必要となることから、扶養的財産分与の側面もあるとしています。そのうえで、現実的な飼育費用の負担能力をも考慮して、分与の割合を2:1として、夫に飼育費用についての定期金の支払いを命じた判決といえます。

 

4 最後に

ペットの財産分与は、飼育費用なども考慮にいれた解決が必要となることをご紹介してきました。財産分与についてお悩みの方は、専門家にご相談されることをおすすめいたします。

 

弁護士: 伊藤由香