浪費と財産分与
財産分与
1 夫婦の一方の浪費によって別居時の財産が減っていた場合
財産分与は、原則別居時の夫婦の保有財産を2人で折半するというものですが、夫婦の一方の浪費によって別居時の財産が大きく減っていた場合に、残った財産を均等に分け合うというのは公平ではありません。その場合、浪費によって流出した財産を持ち戻して、財産分与することが可能です。
2 浦和地裁昭和61年8月4日判決(判タ639号208頁)
夫が、女性と不貞しその示談金として合計595万円を夫婦の共有財産から支払った、また自身のためだけに300万円の車を購入するなどその他にも多くの浪費があり、別居時に夫婦の共有財産がゼロになっていた事案で、裁判所は、夫から妻に対し500万円の財産分与を認めました。
3 「浪費」の主張立証
浪費によって流出した財産を持ち戻して、財産分与することは可能ですが、何が浪費であるか、一見して判断は難しく、衣類や装飾品や美容に関する費用など、夫婦の経済力のレベルによってその判断が異なりますので、家計を破綻させるほどの非常識な出費であると主張立証する必要があり、その立証のハードルは高いと考えます。
4 最後に
財産分与でお悩みの方は、ぜひご相談ください。
弁護士: 中川真緒